「革トランク 宮沢賢治」読書の記憶 三十三冊目
15年前のワークジャケット 11月も下旬となると、上着を羽織らないと寒くて外に出られなくなる。そうかと言って、本格的な冬仕様のコートだと、まだ大袈裟な感じがするので躊躇していたところクローゼットの奥にぶら下がっていたワークジャケットが目にとまった。15年ほど前に購入したやつだ。 取り出して着てみる。15年前から身長は伸びていないし、体重の方も…増えたには増えたがワークジャケットが着られなくなるほどの増加ではないので、サイズ的には問題ない。デザインも、ワークジャケットという定番商品だけに、さほど時代遅れという感じもなかった。そして今くらいの時期にちょうどいい厚さの生地だったので、それを着て出かけることにした。 道を歩いていて、ふと「みんなは、ジャケットやコートの類は何年くらいで買い換えるのだろう」と思った。シャツやセーターと違って、値も張るからそうそう買い換えるものではないだろう。それでも流行り廃りもあるし、ある程度のサイクルはあるだろう。そして「自分のように、15年以上前のジャケットを、こうやって着ている人は、どのくらいいるのだろう?」と思った。 「革トランク 宮沢賢治」 なんとなく、 宮沢賢治 の作品の登場人物は、15年以上前のジャケットを着ているような気がした。「革トランク」の主人公などは、着ているような気がした。「革トランク」と「15年以上前のジャケット」という語感が相通じるような感じがしたからかもしれない。 ちなみに作品に登場する「革トランク」は買ったばかりのものだし、15年以上前のジャケットを着ているという表現は出てこない。そもそも「白の麻服のせなかも汗でぐちゃぐちゃ(本文より)」とあるから、暖かい時期の話だろう。 それでもなんとなく「着ていそう」と思ったので、僕の頭の中ではこの主人公は15年以上前のジャケットを着ている、もしくは持っていることにしたいと思う。 ☺ ブログの作者 プロフィールへ ☝ TOPへもどる ☝ ブログの目次 宮澤賢治 銀河鉄道の夜 よだかの星 セロ弾きのゴーシュ ポラーノの広場 革トランク グスコーブドリの伝記 風の又三郎 春と修羅 序 春 注文の多い料理店 新刊案内 猫の事務所 報告 真空溶媒