読書の記憶 五十六冊目 「模試の小説」は、わりと好きだった。

受験生の思い出と言えば「模試」である。毎月一回(または二回)定期的に行われる「それ」を受験しては、その結果に一喜一憂する。いや、実際のところ、ほとんど対策らしい対策もせずに模試を受験していたのだから、結果はでないのは当然で「一憂」する資格などないはずである。それなのに結果を見ながら「今回は調子が悪かった!」などと考えていたのだから、実にどうしようもない受験生だったと思う。勉強の成果を確認するのではなく、勉強をしていないことを確認するために模試を受けていたようなものだ。なんというか本末転倒の模試活用方法だったなと思う。

そんな中でも、国語の現代文は、わりと好きな分野だった。とくに問題に使われている「小説」は、なかなかおもしろいものが多く、しかも良いところで切り取られていることも多いので「ああ、続きが読みたい」と、思ったものだった。偶然、以前読んだことがある作品が出題されている時などは「今回はもらった!」と、わくわくしたりもした(しかし、結果はいつも通りだった)。

残念ながら自分の場合、問題文は面白く読めるのだが、解答は芳しくないことが多かった。実際、五教科の中で「国語」の成績が一番悪かった(中・高共に、5段階評価で4が最高だったと記憶している)から、楽しく読むことと問題を解答することは、また別の能力なのだと思う。そんな自分が、今の仕事をしているのを知ったら、当時の国語の先生はどう思うのだろう。いや、先生の記憶にすら残っていない生徒だったと思うから、聞くだけ無駄かもしれない。

もしも今、当時と同じ問題に挑戦した場合、多少点数は上がるのだろうか。当時よりも読書量は増えているから、多少は得点力も養われているだろうか。ちょっと試してみたい気もしていると同時に、思い出は思い出のままにしておいた方が良いような気もしている。

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