読書の記憶 二十冊目: ふしぎな図書館(村上春樹 佐々木マキ)

確か、小学生の時の「社会見学」の授業だったと思う。「確か」とか「だったと思う」と書くくらい記憶が曖昧で、全然違う授業だったかもしれない。もしかすると全く間違っているかもしれないが、とりあえず小学生の社会見学の授業ということで話を進めていく。

確か、小学生の時の「社会見学」の授業だったと思う。クラスで班を作って、希望の職場を見学に行くという内容で、僕は「図書館」を選んだのだった。前にも書いたけれど、小学生のころの自分にとって、図書館は「好奇心をくすぐられる場所」で世界で3番目くらいに好きな場所だったから、訪問できることがとても楽しみだった。自分が興味がある世界に、少しでも近づくことができる。そんなわくわくで胸を躍らせていたような記憶がある。

そして当日。僕の記憶に深く刻みこまれたのが「書庫」の風景だった。「ここから先は書庫で、普段は入れない場所なのだけど、今日は特別に」と、そのような説明を受けてから踏み込んだその場所は、古い本独特の埃っぽい匂いと、ひやりと冷たい空気と、少し薄暗い電灯と、そして見上げるような高さの本棚がずらりと奥まで並んでいる非日常な空間だった。その場所は、小学生の僕には「気安く立ち入ってはいけない場所」のように感じられた。いや、もしかすると「一度踏み込んだら、二度と出てこられない」ような、そんな異質な世界に感じられたのだった。


怖いような気がした。それと同時に、大人になったらまたこの場所に来よう、とも思った。今から死ぬまでにどれだけの本を読めるかわからないけれど、絶対にここにある本の半分くらいは読んでやる。いやもっと、できるだけもっとたくさん読んでやる。そんなことを考えていたと思う。


村上春樹の「ふしぎな図書館」を読んだとき、僕の頭の中にはこの時の記憶が蘇ってきた。あの時案内された書庫の奥の方にも閲覧室があって、そこには小柄な老人がいて・・・。

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