少年探偵団 (江戸川乱歩)読書の記憶 十四冊目
小学生の時の話。
通学路の途中、住宅街から少し離れた場所に空き地があった。雑草が生えているだけの、何の特色もない空き地。野球やサッカーをするには狭いし、集まって話をするには退屈な眺めの場所。「この道を真っ直ぐに進んだところにある、空き地の先を・・・」と話した時に「空き地なんてあったかな?」となるような場所。確かに存在はしているけれど、記憶には残らないような場所。
数日後、その「家」は跡形もなく空き地から消え去ってしまっていた。何の気配も痕跡も残さずに、どこか遠くへと消え去ってしまっていた。まるで家自身が意識を持っていて、僕たちがそれ以上近づく事を拒むためにどこかへ飛んで行ってしまったかのように。やはりあの家は、特別な何かだったのだ。もう少し時間があれば、正体を突き詰めることができたのに。また、あの家が戻ってきたのならば、今度は勇気を出して中を覗き込んでみよう。
追伸
僕が子供のころ「少年探偵団」の実写版ドラマが放送されていた。このドラマを見て以来、この本を読み返す時には頭の中でオープニングのテーマ曲が流れていたものだった。もう一度あの曲を聴いてみたいと思い検索してみたところ、あっさりとヒットして聞くことができた。懐かしかった。そして、わりと細かいところまで覚えていたことに驚いた。子供のころの記憶というのは、なかなかすごいものですね。よほど熱心に見ていたのかな。
江戸川乱歩 少年探偵団 心理試験 日記帳