読書の記憶 二十二冊目: 辞書を読もう。

スマートフォンを使うようになってから、めっきりと辞書をひかなくなってしまった。なにせ、スマホを手にとって調べたい語句を入力すれば、瞬時に知りたい情報が表示されるわけだから、辞書の使用頻度がさがってしまうのは致し方ないことだろう。

学生のころ「辞書をひいた回数で、成績が決まる」「とにかく辞書をひけ。辞書をひくということが勉強なのだ」と繰り返し言っていた先生がいたのだけれど、その先生が現在の状況を見たのならば何というだろう。それでもやはり「辞書を引きなさい」というのだろうか。それとも「スマホでも構わない。調べることが大切だし、何よりも時間が短縮されるのは良いことだ」と言ってくれるのだろうか。


そう、辞書についてもうひとつ思い出したことがあるので今から書いてみたいと思う。僕が小学一年生の頃の話だ。
自宅の本棚に子供向けの辞書が一冊あった。その時の僕は「辞書= わからない語句を調べるもの」ということを知らなくて「辞書=たくさんの豆知識が書かれている本」と勘違いしていた。つまり賢くなりたい人が読む本だと思っていたのである。そこで「小学生になったわけだし、かなり厚い本だけどひとつ挑戦してみるか」と、小学校に進んだことをきっかけに読んでみることにしたのだった。

読み始めてから二ヶ月後、無事にすべてのページを読み終えた僕は……と、いうようなことはなく、やはり当然のように最初の数ページで挫折してしまうことになる。「なんて読みにくい本だ。まだ自分には早すぎたのかも」と感じたことを、おぼろげながらに覚えている。若干の敗北感もあったような気がする。

それにしても、子供とはいえ「辞書を普通の本」だと思い込んで読み始めてしまった当時の自分のことを考えると、いくらなんでも「これは普通の本ではない」と思わなかったのか、と思う。「あのなあ、それは豆知識の本ではないんだよ。ほら、こっちの本を読みな」と、背中をポンポンと叩きながら、当時の自分に教えてやりたい気がするわけです。

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